何気ない質問から始まった
「やさしい日本語用語集」の編纂

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「これは何て書いてあるの?」
そう外国人留学生から聞かれたのは、ある授業でのこと。その時、私は特に深く考えずに意味を答えました。でも、他の授業やゼミでも留学生が困っている姿を見かけることがあって「留学生が日本語で専門科目を学ぶのは、やっぱり難しいよな」と実感しました。

ゼミのメンバーとそんな話をしていた時、先生が「それなら日本語の用語集をつくってみるのは?」とアイデアをくれたので、さっそく有志を募ってプロジェクトを始動。
まず、どんな言葉がわからなくて困っているのか、留学生たちにヒアリングを行いました。すると、学問的で難解な表現だけではなく、各科目でよく使われる単語にもわからない部分があることが判明。そこで私たちは、各科目の先生に授業で使用するレジュメをもらい、必修科目ごとによく使われる日本語をピックアップすることに。
留学生もメンバーに入ってもらうことで、留学生目線の意見を取り入れながら理解しにくい単語や表現をやさしく変換していき、ひとつの用語集を完成させました。

編纂の過程で、ひとつ思い出したことがあります。それは、1年生の時に訪れたマレーシアでの出来事。当時、まだまだ英語力が低かった私は、現地の食堂で英語が通じずに困っていました。その様子に気付いた現地の方が私に話しかけてきてくれて、親切にいろいろと助けてくれたのです。

語学の壁がある留学生にとって、こうした状況は日常茶飯事です。マレーシアで食事の注文すらできなかった私のように、日常生活や大学生活でさまざまな困りごとがあることは容易に想像できます。
「自分も日本に帰ったら、困っている外国人の手助けがしたい」
マレーシアでの体験は、こうした気持ちが芽生えるきっかけになりました。

だから、3年生になって留学生と協力しながら「やさしい日本語」を編纂できたことは、私にとってとても嬉しい経験でした。
国や文化が違う者同士でも、自分から心を開いて働きかけ、ひとつの目標に向かって協力していけば深い絆を結べる。「やさしい日本語」の編纂を通して、私はそれを実感できました。
私たちの作った「やさしい日本語」が留学生との交流の架け橋となり、多文化共生の一助になっていけば、これ以上嬉しいことはありません。

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