私が留学先に選んだのは、ドイツのアーレン大学。
日本語が通じない環境に身を置いて、徹底的に自分を追い込むことで英語力を鍛えたい。そう考えてドイツという国を選択しましたが、正直なところとても大変でした。
というのも、日本語が通じないだけじゃなくて、街中ではドイツ語を話す人がほとんどで、私の英語力ではコミュニケーションを取るのにかなり苦労したからです。空港に到着した時も空港職員に道を聞こうとしましたが、すべてドイツ語で返されて「これは大変な所へ来てしまったかもしれない……」と早くも後悔しました。当時、TOEIC?のスコア自体は800を超えていましたが、今から思うと外国人と話をする実践経験が圧倒的に不足していたんです。
そんな私の意識が大きく変わったきっかけは、他国から来ていた留学生との交流です。ヨーロッパや中東、アフリカなど、世界各国から集まった留学生は、みんな流暢な英語を話し、3カ国語を操る人も珍しくありませんでした。彼ら彼女らの高い学修意欲に刺激され、私もモチベーションがあがっていき、「完璧な英語じゃなくても積極的に交流していこう!」と思うようになりました。
語学力を高める語学研修とは違い交換留学生としてアーレン大学へ通っていたため、ハイレベルな専門学修にも取り組みました。特に印象に残っている学修が「国際人的資源管理論」です。グループディスカッションが毎回あり、ヨーロッパ各国や中東、アフリカなどから来ている留学生たちと活発な議論ができました。グローバル企業における組織の在り方や人員配置など、人的資源管理の事例を勉強するのですが、正解がある学問ではないため、先生も含めて全員で答えを探求するスタイルは、とてもおもしろかったです。
また、ドイツは難民受け入れに前向きな多民族国家なので、普段の生活の中で多様な国籍や背景を持つ人と出会います。紛争などで自国を追われた人もいて、話を聞いていると「日本はなんて平和で閉じた国なんだ」と感じました。難民問題には興味があったので、書籍や論文を読んで情報としては知っていましたが、「もっと自分ゴト化して深くまで考えなければいけない」と思うようになり、現地の難民支援団体でボランティアに参加しました。アフガニスタンから来た人に紛争体験の話を聞いたり、支援団体の代表とディスカッションしたり、とても有意義な時間を過ごすことができました。
日本では感じられない「世界の広さ」を肌で感じたことで国際感覚が身に付き、難民問題や公共政策をもっと深めたいと思うようになりました。これからは大学院への進学を視野に入れて、専門学修に力を入れていくつもりです。